16. 私の男
監督:熊切 和嘉
圧倒的な映像美で魅せる禁断の愛と官能に、心震える極限エンターテイメント。
流氷に閉ざされた北海道と東京を舞台に、孤児となった少女と彼女を引き取ることになった男の禁断の関係を描き出す。
桜庭一樹さんの小説で読んだことがあるのは、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と「少女七竈と七人の可愛そうな大人」そして「私の男」。
すべての作品に共通して感じたこと、「ぞわぞわする美しさ」。
嫌悪感、不快感、そういったものを感じさせる文章、物語を描く。
ゆるゆると、そしてずるずると、気持ち悪さを感じているにもかかわらず、なぜか愛おしい登場人物たち。
なにがいけないの?どこがおかしいの?
あぁ、私、孤独を描く物語が好きなのかも。
小説のはじまりのシーンが好きだったから、映画のはじまりのシーンはちょっと残念だったな。赤い傘のシーン。
「わたしは濡れず、男は濡れた。ぬすまれた真っ赤な傘はびっくりするほどの角度でかたむき、歩くたびに揺れながら、わたし一人を頑固に守り続けていた」
あれ?ぜんぜん映画の感想つづってない。
「黒ずんで、波飛沫が氷の粒みたいで、どこまでも暗くて重苦しい、不思議な海」に向かって、二階堂ふみちゃんが「地獄みたいね」と甘ったるい声で、無邪気な笑顔で言うシーン、印象的。好きです。
あとは最初のシーン。車の中で、浅野忠信が手を握って吐くセリフ。
「今日からだ。俺は全部お前のものだ」
全力な感じが好き。