9. ブルージャスミン
監督:ウディ・アレン
この監督さんの作品で観たことがあるのは、
ギター弾きの恋と、ミッドナイト・イン・パリの2作品。
けっしてどちらも男女関係においてハッピーエンドと言いがたいのは、
ウディ・アレンの人生にあらわれているのかもしれない。
アカデミー賞ノミネート24回、史上最多らしい。
79歳で現在も映画を制作し続けている。
ニューヨークでセレブな生活を送っていたヒロイン:ジャスミンが、一転、夫も子どもも財産もすべて失う。妹を頼りにサンフランシスコに引っ越し、そこで人生の再生をはかるが、「虚栄」が邪魔をし、心は病んでいく。はたしてジャスミンは、セレブリティな生活に返り咲くことができるのかー?
キャッチコピー「虚栄という名の花」
この作品で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したケイト・ブランシェット。ありとあらゆる女優賞を総なめしてます。20個くらい賞とってる。
ベンジャミン・バトン数奇な人生でも素晴らしい演技をする人だな、と思っていたけど、この映画はすごい。もう最初から、この映画の何がすごいってケイト・ブランシェットがすごい。最初から目がいってる。抗うつ剤をウォッカで飲む病みっぷり。
ここからネタバレありますよ。
信頼しきっていた夫の仕事が実は詐欺師で、違法な方法でお金を稼いでいたことが発覚し、警察に捕まり、投獄中に自殺する。
しかも、幸福だったと思っていた生活の中でも、夫は浮気しまくり、それを知らなかったのは妻のジャスミンだけだったという。。
夫を亡くし、財産も奪われたジャスミンは行くところも無く、妹のジンジャーを頼りにサンフランシスコに引っ越しをする。
その頃には心も病んで表情がおかしい。視線がさだまらず、指先はふるえ、知らず知らず独り言をつぶやいている。
リッチな生活をしていた人が堕ちると、ここまで狂うのか、と思っていたけれど。
それだけじゃぁなかった。
その容姿の美しさから、第三者からセレブな生活が当たり前のように思われるジャスミンにとって、上級社会の中で生きていかなければならない、それが自分に与えられた権利のようにずっと思いながら生きていたのだと思う。
財産もあり、夫には愛されて、子どもは優等生に育つ。。
それが踏みにじられることによって、心がパニックを起こしたんだろうな。
捨てられるくらいなら自分で夫を突き落とす。
おそろしいな、美しい女って。
「愛しているから妬いてるの。喜んで。
ほかの女がホレるのは仕方ない。でもお気の毒。あなたは私のものよ」
「そうとも」
「浮気してない?」
「してない」
浮気しまくりのくせして相手の目を見て「してない」と断言しキスする男もいるのね。
こわいわ。
そして捨てられるくらいなら警察に突き出す女もいる。
こわいわーー。
愛ってはかりしれない。